今年も余すところ20日足らず、本年最後の健康セミナーは年末恒例のお屠蘇作りです。
18人が参加くださいました。

まず「冷え」について勉強したあと、冬の感染症について学びました。
風邪の原因であるウイルス感染には薬がないこと、予防と体調管理が大切であること、中でも栄養や運動により体温を上げることで免疫力がアップするので、体を温めることが大切であることを話しました。

風邪は感染初期から重篤になって死にいたるまでいくつかの段階がありますが、漢方薬はその病期に合わせて方剤を選んでゆきます。
ちなみに葛根湯は初期の方剤で、風邪のひきかけに悪寒がして肩がこわばるような時に有効である話をしました。

屠蘇(とそ)またはお屠蘇(おとそ)とは、一年間の邪気を払い長寿を願って正月に呑む縁起物の酒のことです
「屠蘇」とは、「蘇」という悪鬼を屠(ほふ)るという説や、悪鬼を屠り魂を蘇生させるという説など、僅かに異なる解釈がいくつかあります。
生薬は屠蘇散(とそさん)という煎じ薬としても使用します。

本日お屠蘇に選んだ生薬は9種類、まず煎じたものを味見してもらいました。生薬の香り高くわずかに甘みのあるさっぱりした口あたりです。

★山椒(サンショウ):冷えによる腹痛
★防風(ボウフウ) :発汗、解熱、皮膚疾患、関節・神経痛、頭痛
★桂皮(ケイヒ)  :手足の冷え、腹痛、下痢、のぼせ(シナモン)
★桔梗(キキョウ) :止咳、去痰、排膿、咽頭痛
★丁字(チョウジ) :腹痛、嘔吐、下痢、吃逆(クローブ)
★陳皮(チンピ)  :健胃、去痰、理気、消化不良、   
★茴香(ウイキョウ):健胃整腸、鎮痛(フェンネル. 八角とは別もの)
★大棗(タイソウ) :食欲不振、下痢、不安、興奮、血流改善
★乾姜(カンキョウ):解熱・鎮痛、健胃、抗炎症

参加者の皆さんはテーブルに並べられた刻み生薬を、思い思いに取っておられました。オリジナル屠蘇の生薬をお茶パックに入れ、約400mlの水で1時間とろ火で煎じると屠蘇散になります。
また、みりんや酒に一晩漬けるとお屠蘇の出来上がりです。

参加者の皆さんが手作りお屠蘇で温かいお正月を迎えられることをお祈りしています。