5月14日(日)に京都薬科大学で開催された京都漢方研究会で講師をつとめました。
参加者会員80名、漢方認定薬剤師10名、計90名参加でした。
美しく洗練された母校の大講堂で開催される、京都で最も伝統あるコアな漢方研究会の会員の先生方を前にして正直大変緊張しました。
前半の慢性疼痛では痛みの出現機序と西洋薬、漢方薬の効果発現部位について詳しく説明しました。
後半の認知症では、抑肝散がBPSDの陽性症状に有効であるとして頻用されてきました。
しかしBPSDとしては気づかれにくい陰性症状こそが重篤になるケースが多く、他の漢方を使って慎重に対応する必要を説明しました。
症例提示では、昨年NHKスペシャルの認知症の特集で放映された、前病院勤務時代に経験したBPSDへの漢方著効例をみていただきました。参加者の先生方は実臨床の現場でのBPSDと、漢方の投与前後の患者さんの表情の大きな変化に驚いた様子でみいっておられました。
最後に、最近一部の漢方薬が認知症の中核症状にも効果があるという研究報告を、分子生物学的手法、組織学的手法、動物行動実験的手法をつかって説明しました。
漢方薬の有用性を経験則だけではなく、現代の手法を駆使してevidenceを蓄積していくことで、漢方が難病といわれる神経疾患の治療に対し、ますます大きな役割を担うことになるだろうというお話をさせていただきました。