小春日和の午後、今回は20人が参加してくださいました。
お馴染みの方に交じって、初参加の方もちらほらおられ、主催者側としては大変励みになります。
昨年の2月も同じテーマでセミナーを開催しましたが、今年もいよいよ花粉症の時期が到来するということで、あらためて同じテーマでお話をしました。
さて本日の漢方煎じは麦門冬湯(バクモンドウトウ)、1年で最も乾燥するこの時期に最適な潤いの漢方です。最近化粧品にも頻用される粳米(コウベイ)やバクモンドウ(ジャノヒゲの根塊)をはじめ、6種の生薬が含有されており、喉、皮膚、腸など全身の乾燥に効果を奏し、咳や乾燥性皮膚炎、便秘症にも使用します。麦門冬湯は香ばしくて美味しいので、子供から大人まで人気の漢方ですが、煎じ薬はさらに香ばしく大好評でした。
※粳米とは、うるち米を精米していない玄米のことで、冷えをとり滋養によく乾燥を防ぎます。
まず、アレルギーの話をして、アレルギー反応の中でも激烈な症状が現れるアナフィラキシーショックについて勉強しました。
そしていよいよ花粉症の話です。日本気象協会によると、今年は京都では花粉飛散量が昨年の7倍以上と予想され、スギの花粉前線はすでに2月20日に京都までやってきているようです。
花粉症は1型アレルギーに属し、花粉の暴露により抗体が作られ、度重なる暴露で肥満細胞に抗体が結合すると、そこからヒスタミンはじめ花粉症の症状をきたす様々な化学物質が放出されて発症します。発症するかしないか、症状が強いか弱いかは飛散量だけでなく、受け手側の体質(遺伝)、免疫システム、体調にもよります。
予防方法はとにかく抗原からの回避につきますし、治療はすでにこの時期様々なメディアを通じて情報がいきわたっているので説明するまでもありません。この中で漢方は個々の症状に応じて細かく選択することができるのが最大のメリットです。頻用される花粉症の漢方として、
・小青竜湯:サラサラした鼻汁
・葛根湯加川キュウ辛夷:どろどろした鼻汁、鼻閉
・桔梗湯:咳、咽頭痛
・越婢加朮湯:目のかゆみ
・麦門冬湯:喉、皮膚の乾燥感
・黄連解毒湯:じんましん、皮膚の赤み・かゆみ
・温清飲:血流改善と皮膚症状
などが挙がります。
最後に、当クリニックにおいて、漢方で著明に改善したアレルギー患者さんのケースをいくつかご紹介し、花粉症の症状を改善するツボのご紹介をしました。
終了後のアンケートでは、「今回の具体的な症例の紹介がとても印象的でイメージをもつことができた。」「家族や知り合いでアレルギーに悩んでいる人に紹介したい」という意見を複数いただきました。
これからもよりイメージしやすく分かりやすいセミナーを行っていきたいと思います。