災害について考えるーわたしたちをとりまく状況―
7月14日 参加者14名
詳しいセミナー内容については、添付しましたスライド資料をご参考ください。
第29回セミナー防災と災害
クリニックで月1回開催しているセミナーは、健康や医療だけでなく生活全般にかかわる様々なテーマをとりあげ、今回で29回目を迎えました。
今回のテーマは「災害について」です。
長く都があった京都は安全な街と思われてきました。
しかし6月18日大阪北地震が発生し、京都でも震度5弱と強い揺れを感じました。
また7月上旬には「平成30年7月豪雨」が発生し、京都府下は7日から10日にかけて各地域で避難勧告、避難指示が発令されました。
そしてセミナー当日の7月14日は記録的な猛暑に見舞われるという、気象災害ともいうべき異常事態がたて続けに起こりました。
「災害は忘れたころにやってくる」、「備えあれば憂いなし」と、災害に対する諺は昔からずっと言われ続けています。しかし先人の教訓は生かされることなく、
私も然りです。それが縁あって3年前に東日本大震災での福島の放射線災害を勉強する機会を得ました。居宅困難区域の周囲や除染現場、除染がなされないままの里山、大津波跡地の相馬にも赴きました。実際に見る光景はメディアで流れるものと大きな開きがあり、強い衝撃をうけました。帰京してまもなく、JMAT(日本医師会災害医療チーム)にも加入し、災害医療の基礎を学び始めました。
昨年より地域医師会理事を拝命し、災害対策部会のメンバーとして地域医療に深く関わる中で、さらに多くのことを学びました。淀川水系を構成する河川氾濫による水害だけでなく、京都府下には20以上の断層が存在し、いずれも直下型地震を起こす可能性があること。
中でも総延長47km左京区南北に走る花折断層は、ここ30年以内に地震規模M7.5以上の直下型地震を起こす可能性が80%以上もあり、建物全壊12万棟以上、死者3千人以上、負傷者12万以上と甚大な被害をもたらすといわれていること。
大規模災害対策は東日本大震災以降、検討され始めてはいるものの、災害の最前線である地域との連携はこれからであること。
原子力災害については、左京区は北部のごくわずかな地域のみが福井県大飯原子力発電所の30km圏内であるため、地域全体に防災意識が低いこと。しかし福島第一原発事故で放射性プルームの予想外の動きにより、広範囲に汚染が拡大したこと。放射線災害を熟知する医療者が京都には少ないこと。などです。
そんな中、地域防災については京都市自主防災訓練に参加し、トランシーバーの実践練習を防災害対策部会の先生方に教えていただきました。
また地域医師会が京都府の原子力災害協力機関であることより、東京の原子力安全協会にて原子力災害時の医療に係わる講師養成講座に計4回、基礎研修から避難退域時検査・簡易除染、安定ヨウ素剤配布など、実践まで徹底的に勉強してきました。
今年は福島県立医大での放射線災害時のリスクマネジメント、メンタルヘルスについての講習に参加しました。
この3年間の学びの中で、地域医療が災害医療の最前線であるとつよく思うようになりました。トップダウンだけでなく、ボトムアップによる災害対策、顔の見えた関係性を地道につくっていくことの大切さも再認識しました。
災害発生時の自助、共助、公助とともに、その後のBCP(Business continuity planning:事業継続計画。災害などの緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画。)をいかに迅速にたて、復興を図るか。
地域医療の担い手としてすべきことは山積しています。
地域の先生方、