今回のセミナーは、「手作りお屠蘇」という初めての企画で、38人の参加者がありました。

屠蘇(とそ)または、お屠蘇(おとそ)とは、一年間の邪気を払い長寿を願って正月に呑縁起物の酒であり風習です。「屠蘇」とは、「蘇」という悪鬼を屠(ほふ)るという説や、悪鬼を屠り魂を蘇生させるという説など、僅かに異なる解釈がいくつかあります。

一般には、数種の薬草を組み合わせた屠蘇散(とそさん)を赤酒・日本酒・みりんなどに浸して作ります。

本日、屠蘇散の生薬として、山椒(サンショウ)・防風(ボウフウ)・桂皮(ケイヒ)・丁字(チョウジ)・茴香(ウイキョウ)・乾姜(カンキョウ)の8種類を用意しました。すでに前日からこの生薬をブレンドし水から煎じた屠蘇散の芳香が室内に立ち込めております。試飲するとショウガや山椒、シナモンなどの香り高いスパイシーな味です。口にするだけで、首筋や背中がほかほかと温まるような感じがしてきます。蘇散を味わっていただきながら、冷え性の話、冬の感染症と冷えの関係の話をして、体を温めることが冬の感染症からの予防になるという話、体を温めるための生活上の様々な工夫の話、そして多くの漢方薬にからだを温める作用があることを紹介しました。

後半はいよいよお屠蘇づくりです。8種類の漢方は冬の風邪から身をまもるように、血流の改善による保温作用だけでなく、水循環の改善、健胃作用などが期待できます。このうち生姜や山椒、八角(ウイキョウのこと)、フェンネル(チョウジのこと)、シナモン(桂皮)は、普段のお料理でも登場するスパイスです。8種類の刻み生薬を机に盛ると、またたく間に良い香りがしてきます。参加者はお好きな生薬をチョイスして各自の紙コップに入れていき、最後にお茶パックにいれて完成!あとは大晦日の晩に、お酒かみりんにお茶パックごと漬けてキッチンの上で置いておくだけ。元旦の朝にはうっすらと色づいた香りたかいオリジナルのお屠蘇の完成です。お酒の飲めない方はそのままお水で煎じていただいても屠蘇散ができます。みなさん、大喜びでいくつも作ってお持ち帰りしていただきました。

お正月明けの受診では、手作りお屠蘇がとても美味しかったこと、薬膳のスパイスとして利用された方もいらっしゃいました。漢方をより身近に感じていただく良い機会になったのではと思います。大好評ににつき来年も企画したいと思いますので、楽しみにしていてください。